世界大会でいつも目立つ中国の国旗。「なんでこんなに強いの?」と気になったことがある人も多いはずです。中国卓球の強さは、単なる才能や努力だけでは説明できません。
国家が支える育成体制や、生活に溶け込んだ文化が、その強さをつくり出しているのです。本記事では、その理由と歴史を解説していきます。
中国の卓球はなぜ強い?
中国卓球がここまで強くなったのは、たまたまではありません。ではなぜ強いと言われるようになったのかというと長い時間をかけて築かれた育成の仕組みが背景にあります。1959年、容国団選手が世界選手権で優勝してから、中国は国を挙げて卓球に力を入れてきました。
1981年には全種目で優勝、団体戦でも11連覇を達成しています。科学的なトレーニングや厳しい選抜制度、そしてなにより卓球を愛する国民の存在が、この強さを支えているのです。
中国の卓球が強い理由は「エリート教育」
中国で卓球がなぜ強いのかというと、育成がとにかく早く始まるからです。才能のある子どもは4〜5歳でスカウトされ、体育学校での寮生活が始まります。有名な什刹海体育学校では、五輪金メダリストを何人も育ててきました。毎日8〜10時間の練習に加え、戦術やメンタルの指導も徹底。
市→省→国家と進むピラミッド式の選抜制度のなかで、生き残れるのはほんの一握り。その厳しさこそが、圧倒的な層の厚さを生んでいるのです。
国内大会が「世界レベル」の厳しさ
中国の卓球代表になるには、まず国内の厳しい競争を勝ち抜かなければなりません。世界ランキング上位の選手でさえ、国内大会で結果を残せなければ代表に選ばれないこともあります。
中国スーパーリーグには、世界トップレベルの選手がずらりと並び、代表候補の多くが世界ランク100位以内という層の厚さ。他国ならエース級の選手が“控え”になることも珍しくない、この熾烈な環境が選手をさらに鍛えているのです。
「国技」として育てられた中国の卓球
中国で卓球は、ただのスポーツではありません。1959年の世界選手権初優勝をきっかけに、国家の象徴としての位置づけが強まりました。1971年のピンポン外交では、国と国の関係までも動かしました。
今でも学校や公園、住宅街の一角には卓球台が置かれ、老若男女が日常的にプレーを楽しんでいます。こうした環境が、自然と選手の育成を後押ししているのです。
世界と比べてわかる中国の育成の異常さ
日本の卓球は学校の部活を中心に育成され、指導は教員が担うことも多く、時間や環境に制約があります。欧州ではクラブ制が主流で、プロの指導を受けられる一方、育成は個人任せな面もあります。
対して中国では、国家が主導し、5歳前後から選手を選抜。AIやデータ分析を取り入れ、成績次第では代表候補も即降格。育成の仕組みそのものが、他国との差を生んでいるのです。
まとめ
「中国の卓球がなぜ強い?」と聞かれても、一言で片付けられる話ではありません。国家ぐるみの育成体制、国内での激しい競争、そして卓球が日常に溶け込んだ文化。この三つが重なり合って、中国は常に世界のトップに立ち続けています。ただ強いだけでなく、それを“当たり前”にする仕組みがあるからこそ、中国は卓球王国と呼ばれているのです。