日本のプロ野球と比べても圧倒的な額の年俸が話題になることが多いメジャーリーグ。実はメジャーリーグとしての年金制度があるのはご存じでしたか?今回は気になるメジャーの年金制度や金額について紹介します。
メジャーの年金制度とは
メジャーリーグの年金制度とは、ずばりメジャーリーガーが老後にメジャーリーグ独自の年金をもらう事ができるというシステムです。「メジャーリーグに所属した選手やコーチ、監督などを対象とした確定給付型の企業年金プラン」なんですね。満額になると年27万5000ドル、つまり約3985万円を毎年貰うことが出来るんです!引退後にこの金額が入ってくるっていうのは魅力的ですよね!
でも、メジャーでプレーしたことがある選手全員が毎年この金額を貰うというのは現実的では無いように思えます。一体どうすればこの年金を貰う事ができるのでしょうか。
メジャーの年金を貰う資格は?
メジャーリーグの年金を貰う資格は、43日間以上メジャー登録されていれば発生します。野球選手としてのキャリアの中で、どこかのタイミングで43日一軍に入れば年金を貰う事ができるようになるのです!年金なので、貰えるようになってから(メジャーの年金制度では原則62歳から支払われるようになります)亡くなるまで、たった43日メジャーに登録されていただけで貰えるようになるんです!
ただ、流石に短期間メジャーに登録されていただけの選手が毎年4000万円近く貰えるようにはなりません。27万5000ドルというのは、あくまで満額の数字です。
メジャー登録されていた期間によって貰える額は変わる?!
メジャーの最低加入条件の43日間をMLBのアクティブロースター、及び故障者リストに名前がある状態で過ごすと満額の2.5%程度、つまり年6875ドル、約99.6万円を得られるようになるのですが、ここからメジャー在籍43日を重ねるごとに貰える年金の額が2.5%ずつ積み上がっていきます。メジャーリーグの1シーズンは約172日であり、1シーズンフルでメジャーリーガーとして過ごすと満額の約10%の2万7500ドル、約398万円を貰えるようになります。
これを重ねていき、10シーズン分メジャーリーガーとして過ごす事ができれば満額貰えるようになるのですね。
満額受給は全体の1割ほど?
野球界のトップスターが集うメジャーの最高リーグで10年間も戦い続けるというのは容易なことではなく、満額受給できる選手は全体の一割にも満たないとされています。また、それだけ長くメジャーでプレーできる選手は当然、現役時代の年俸も高額です。10億や20億という選手も少なからずいるので、約4000万という年金も少し霞んでしまうかもしれませんね。
一方で短命で終わった選手は年俸も高額にはなりづらく、そういう選手は年金の額も少なくなります。メジャー登録43日に到達しなければ年金も無し、仕方ないことといえばそうですが、お金が必要な選手には渡りにくい制度だと言えますね。
年金を受け取り始める時期は?
メジャーリーグの年金は原則62歳から受け取る事ができると紹介しましたが、受給資格者が望むのであれば、最も若くて45歳から受け取り始めることが可能です。「それなら皆んな45歳から受け取りたいのでは?」と思うかもしれませんが、若い時期から受け取り始めると貰える額が減ってしまうというデメリットがあります。
早期受給による減額率は開示されていませんが、45歳で受け取り始める場合、62歳で受け取り始める時の50%ぐらいになる、とする情報もありましたよ。50歳でも60歳でも、それぞれその時期にあった減額率になるので、選択肢があるというのは嬉しい話ですよね。
年金は受給者が亡くなっても配偶者がいれば相続可能
62歳から受給者が亡くなるまで受け取り続けることができるメジャーの年金。体を酷使したアスリートが若くして亡くなってしまうこともあるかもしれませんが、受給者に配偶者がいれば、受給者が亡くなった後も配偶者が相続して亡くなるまでメジャーの年金を受給することができます。そういったところまで配慮が行き届いた、素晴らしい制度なんですね。
MLB選手会は世界最強の労働組合?
トップのリーグに43日在籍すれば年金の受給資格が発生するというハードルはアメリカの他のスポーツリーグと比べても非常に低いハードルであり、これはMLBの歴史の中で徐々に下がっていったハードルでもあります。
MLB選手会は強い交渉力を持つ「世界最強の労働組合」なんて呼ばれたりもする選手会であり、それ故に年金制度もかなり優れた、選手に優しいものになっているのですね。また、年金は43日メジャー登録されないといけないものの、MLBロースターに1日でも在籍すれば生涯にわたって健康保険を利用できるようになるなど、医療保険もとても手厚いんですよ。
日本のプロ野球にも年金制度はあった?
メジャーの年金制度については、野球ファンであれば度々耳にすることがあると思いますが、日本のプロ野球ではそういった話を聞きませんよね。でも、実はNPBにおいても年金制度というのはあったんです。
年金受給資格を得るためにはプロ在籍年数が10年以上必要なものの、1軍2軍を問わず、さらにコーチや監督としての在職期間まで含むため、メジャーで満額を受給するための「10年」よりはずっと満たしやすい条件と言えます。しかし、日本の年金制度では55歳から亡くなるまで受け取れるものの、その額は年間120万円。メジャーのそれとは大きな隔たりがありました。
財源不足で廃止に
それでも、年々増えていく受給資格者に対して財源不足になってしまい、2012年にプロ野球独自の年金制度は廃止となってしまいました。廃止になったのが今より10年以上も前のことなので、日本のプロ野球における年金の話を聞かなくなったのも無理はない話と言えますね。
メジャーの年金を満額受給できる日本人選手は?
メジャーの年金を満額受給できる、メジャー登録10年以上という条件を満たした日本人選手はこれまで5名。イチロー選手、野茂英雄選手、大家友和選手、松井秀喜選手、そしてダルビッシュ有選手です。いずれも名選手ですね。メジャー年金満額受給というのは単純なお金という面以外にも、野球選手としてのステータスという意味合いでも大きな物なのかもしれませんね。
最後に
今回はメジャーリーグの年金制度について紹介しました。年金による安定した収入が保証されていれば、メジャーリーガーは将来について安心することができますよね。悠々自適な野球布教生活を送ったりも出来るでしょう。